この記事では、元請け、下請け、孫請けの役割とそれぞれの立場からの違いについて説明します。
元請け(もとうけ)、下請け(したうけ)、孫請け(まごうけ)とは何か?

元請け、下請け、孫請けの主な違いは、それぞれがクライアント(依頼主)とどのような関係にあるかに基づいています。
お客様(依頼主)
↓
(業者に仕事を委託)
↓
元請け(「お客様(依頼主)」から直接委託される)
↓
(別の業者に仕事を委託)
↓
下請け(元請けから委託される)
↓
(さらに他の業者に仕事を委託)
↓
孫請け(下請けから委託される)
「元請け」は「お客様(依頼主)」から直接業務を受託する業者を指し、「下請け」は「元請け」から、そして「孫請け」は「下請け」から業務を受ける業者を指します。
したがって、お客様から直接業務を受託するのは「元請け」のみです。
「お客様(依頼主)」を「クライアント」と呼んだりもします。
「元請け」は依頼主との直接的な連絡役であり、「お客様(依頼主)」の要望を下請けに伝え、具体的な作業を指示します。
元請けは場合によっては全ての作業を下請けに委ねることもあり、受託した業務の一部を下請けに依頼することもあります。
この全委託のことを「丸投げ」と呼びます。
下請けは元請けからの仕事を孫請けにさらに委託することがあります。
また、孫請けから仕事を受託する業者は曾孫請けと呼ばれ、その下は玄孫請けとして連鎖していきます。
次の節では、同じ業者が状況に応じてどのように呼称が変わるかを説明します。
業者によって変わる呼び名の違い

例えば、マンションの大家が不動産業者に管理を委託していて、外壁の塗装が必要になったとします。
この場合、不動産業者は大家(クライアント)から直接塗装の仕事を依頼され、「元請け」としての役割を担います。
不動産業者は自ら塗装作業を行うわけではなく、外部の塗装業者を雇います。
雇われた塗装業者が「下請け」として作業を行います。
マンションの大家(依頼主)
↓
(塗装依頼)
↓
不動産業者(元請け)
↓
(塗装依頼)
↓
塗装業者(下請け)
しかし、もしマンションの大家が直接塗装業者に外壁塗装を依頼した場合、この塗装業者は「元請け」としての役割を果たします。
このシナリオでは、不動産業者は仕事の委託から外れ、元々「下請け」であった塗装業者が「元請け」として昇格します。
このように、業者が直接「お客様(依頼主)」から仕事を受けるかどうかによって、「元請け」や「下請け」としての役割が決まります。
これを理解することが重要です。
おまけ|「請負」と「業務委託」の基本的な違い

「請負」とよく似ているものの、少し異なる概念が「業務委託」です。
「請負」と「業務委託」のおおきな違いは、仕事の完了を求めるかどうかにあります。
「請負」の場合、特定の仕事の完了が請負人に求められる義務となっています。
そのため、仕事が完了しなければ、通常は報酬の支払いが発生しません。
一方、「業務委託」では、内容によっては仕事の完了が必要とされないこともあります。
例えば、道路工事や建物の建築、コンテンツ制作や商品の製造など、しっかりと終了した状態での提供が求められる業務では、その完成が必須です。
しかし、システムの保守や営業支援のように、業務遂行そのものが契約の対象となる場合は、必ずしも完成を求められるわけではありません。
このように、「業務委託」は「請負」に比べて契約の内容が柔軟に設定されることが多く、その特徴の一つです。
まとめ
まとめると、元請けはクライアントから直接業務を受ける業者、下請けは元請けから業務を受ける業者、孫請けは下請けから業務を受ける業者と定義されます。
そして、同じ業者が状況に応じて元請けか下請けかの役割が変わるため、これらの区分をしっかり理解することが必要です。
また「請負」の場合、特定の仕事の完了が請負人に求められる義務となっていますが、「業務委託」では、内容によっては仕事の完了が必要とされないこともあります。
今回の記事がお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。